政府契約の支払遅延防止等に関する法律


  昭和24・12・12・法律256号  
改正昭和61     法律 93号  
改正平成11・12・22・法律160号−−
改正平成14・12・13・法律152号−−


(目的)
第1条 この法律は、政府契約の支払遅延防止等その公正化をはかるとともに、国の会計経理事務処理の能率化を促進し、もって国民経済の健全な運行に資することを目的とする。

(定義)
第2条 この法律において「政府契約」とは、国を当事者の一方とする契約で、国以外の者のなす工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物件の納入に対し国が対価の支払をなすべきものをいう。

(政府契約の原則)
第3条 政府契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。

(政府契約の必要的内容事項)
第4条 政府契約の当事者は、前条の趣旨に従い、その契約の締結に際しては、給付の内容、対価の額、給付の完了の時期その他必要な事項のほか、次に掲げる事項を書面(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)(財務省令で定めるものに限る。)を含む。第10条において同じ。)により明らかにしなければならない。ただし、他の法令により契約書(その作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。)の作成を省略することができるものについては、この限りでない。
1.契約の目的たる給付の完了の確認又は検査の時期
2.対価の支払の時期
3.各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
4.契約に関する紛争の解決方法
《改正》平14法152

(給付の完了の確認又は検査の時期)
第5条 前条第1号の時期は、国が相手方から給付を終了した旨の通知を受けた日から工事については14日、その他の給付については10日以内の日としなければならない。
 国が相手方のなした給付を検査しその給付の内容の全部又は一部が契約に違反し又は不当であることを発見したときは、国は、その是正又は改善を求めることができる。この場合においては、前項の時期は、国が相手方から是正又は改善した給付を終了した旨の通知を受けた日から前項の規定により約定した期間以内の日とする。

(支払の時期)
第6条 第4条第2号の時期は、国が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求を受けた日から工事代金については40日、その他の給付に対する対価については30日(以下この規定又は第7条の規定により規定した期間を「約定期間」という。)以内の日としなければならない。
《改正》平14法152
 国が相手方の支払請求を受けた後、その請求の内容の全部又は一部が不当であることを発見したときは、国は、その事由を明示してその請求を拒否する旨を相手方に通知するものとする。この場合において、その請求の内容の不当が軽微な過失によるときにあつては、当該請求の拒否を通知した日から国が相手方の不当な内容を改めた支払請求を受けた日までの期間は、約定期間に算入しないものとし、その請求の内容の不当が相手方の故意又は重大な過失によるときにあつては、適法な支払請求があつたものとしないものとする。
《全改》平14法152

(時期の定の特例)
第7条 契約の性質上前2条の規定によることが著しく困難な特殊の内容を有するものについては、当事者の合意により特別の期間の定をすることができる。但し、その期間は、前2条の最長期間に1.5を乗じた日数以内の日としなければならない。

(支払遅延に対する遅延利息の額)
第8条 国が約定の支払時期までに対価を支払わない場合の遅延利息の額は、約定の支払時期到来の日の翌日ら支払をする日まての日数に応じ、当該未支払金額に対し財務大臣が銀行の一般貸付利率を勘案して決定する率を乗じて計算した金額を下るものであつてはならない。但し、その約定の支払時期までに支払をしないことが天災地変等やむを得ない事由に因る場合は、特に定めない限り、当該事由の継続する期間は、約定期間に算入せず、又は遅延利息を支払う日数に計算しないものとする。
《改正》平11法160
 前項の規定により計算した遅延利息の額が100円未満であるときは、遅延利息を支払うことを要せず、その額に100円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てるものとする。

(完了の確認又は検査の遅延)
第9条 国が約定の時期までに給付の完了の確認又は検査をしないときは、その時期を経過した日から完了の確認又は検査をした日までの期間の日数は、約定期間の日数から差し引くものとし、又当該遅延期間が約定期間の日数を越える場合には、約定期間は満了したものとみなし、国は、その越える日数に応じ前条の計算の例に準じ支払遅延に関し約定した利率をもつて計算した金額を相手方に対し支払わなければならない。

(定をしなかつた場合)
第10条 政府契約の当事者が第4条ただし書の規定により、同条第1号から第3号までに掲げる事項を書面により明らかにしないときは、同条第1号の時期は、相手方が給付を終了し国がその旨の通知を受けた日から10日以内の日、同条第2号の時期は、相手方が支払請求をした日から15日以内の日と定めたものとみなし、同条第3号中国が支払時期までに対価を支払わない場合の遅延利息の額は、第8条の計算の例に準じ同条第1項の財務大臣の決定する率をもつて計算した金額と定めたものとみなす。政府契約の当事者が第4条ただし書の場合を除き同条第1号から第3号までに掲げる事項を書面により明らかにしないときも同様とする。
《改正》平11法160
《改正》平14法152

(国の過払額に対する利息の加算)
第11条 国が前金払又は概算払をなした場合においてその支払済金額が支払確定金額を超過し当該契約の相手方がその超過額を返納告知のあつた期限までに返納しないときは、その相手方は、その期限の翌日からこれを国に返納する日までの期間に応じ、当該未返納金額に対し第8条第1項に定める率と同じ率を乗じて計算した金額を加算して国に返納しなければならない。

(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の適用除外)
第11条の2 この法律の規定による手続については、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成14年法律第151号)第3条及び第4条の規定は、適用しない。
《追加》平14法152

(電磁的方法による手続)
第11条の3 第5条、第6条及び第10条の規定に基づき相手方が行う通知又は請求が電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて財務省令で定めるものをいう。次項において同じ。)により行われたときは、国の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に国に到達したものとみなす。
《追加》平14法152
 第6条第2項の規定に基づき国が行う通知が電磁的方法により行われたときは、相手方の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該相手方に到達したものとみなす。
《追加》平14法152

(財務大臣の監督)
第12条 財務大臣は、この法律の適正な実施を確保し政府契約に基く支払の遅延を防止するため、各省各庁(財政法(昭和22年法律第34号)第21条に規定する各省各庁をいう。)及び公団に対し支払の状況について報告を徴し、実地監査を行い、又は必要に応じ、閣議の決定を経て支払について必要な指示をすることができる。
《改正》平11法160
 財務大臣は、前項の目的をもつて政府契約の相手方に対して支払の状況について報告させ、又は必要に応じ実地調査をすることができる。
《改正》平11法160

(懲戒処分)
第13条 国の会計事務を処理する職員が故意又は過失により国の支払を著しく遅延させたと認めるときは、その職員の任命権者は、その職員に対し懲戒処分をしなければならない。
 会計検査院は、検査の結果国の会計事務を処理する職員が故意又は過失により国の支払を著しく遅延させたと認める事件でその職員の任命権者がその職員を前項の規定により処分していないものを発見したときは、その任命権者に当該職員の懲収処分を要求しなければならない。

(この法律の準用)
第14条 この法律(第12条及び前条第2項を除く。)の規定は、地方公共団体のなす契約に準用する。